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【実写映画化】アンダーカレント

自分の大好きな漫画「アンダーカレント」。
豊田徹也先生が描く漫画であり、2005年に発売された作品であるが、18年経った現在でもよく読む。何回読んでも面白い作品だ。
そんな本作が今秋に実写映画化されるので、レビューしたい。

あらすじ

家業を継ぎ、夫の悟と銭湯を切り盛りし、順風満帆な日々を送るかなえ。
しかし突然、悟が失踪する。
彼の行方は一向に分からず、途方に暮れるかなえだったが、一時休業していた銭湯の営業を再開させる。
そこに「働きたい」という謎の男・堀が現れ、ある手違いをきっかけに住み込みで働くことに。その日からかなえと堀の不思議な共同生活が始まる。
夫が失踪し、家業の銭湯も手につかず、途方に暮れる女。
やがて銭湯を再開した女を、目立たず語らずひっそりと支える男。
穏やかな日々の底で悲劇と喜劇が交差し、出会って離れる人間の、充実感と喪失感が深く流れる。
そして、ある事件をきっかけに、堀、悟、そしてかなえが閉ざしていた心の深層(アンダーカレント)が、徐々に浮かび上がってくる。

⇩アンダーカレント 試し読み

bookwalker.jp

実写映画化

原作は2005年刊行であり、今年は2023年なので、19年の時を経ての実写映画化となる。
監督は、「愛がなんだ」などで知られる今泉力哉氏だ。
主人公の関口かなえを演じるのは、日本アカデミー賞女優の真木よう子
音楽は細野晴臣が担当。
また、探偵・山崎をリリー・フランキーが演じるなど、豪華キャストが集っている。
原作の少し寂しくもの悲しい雰囲気を表現してもらえれば幸いだ。

⇩映画『アンダーカレント』公式サイト

undercurrent-movie.com

www.youtube.com

その他

アンダーカレントとは、豊田先生が月刊アフタヌーンにて、2004年10月号から2005年10月号まで、約1年かけて描いた作品だ。
本作は、2009年1月29日から2月1日までフランス・アングレームで開催されるアングレーム国際漫画祭に、2009年度オフィシャルセレクションの一つとして出展された。
さらに2009年、パリ郊外で開催されたJapan Expoにおいて第3回ACBDアジア賞を受賞。フランスのマンガ批評家達から「極めて日本的な背景と普遍的なテーマを同時に描いている」と評された。
正直、もう何回読み直したのか分からないくらいだ。
旅行先に持っていくことさえある。
夫が蒸発し一人で銭湯を切り盛りする女性の話であり、大きな事件もなく淡々とした話が続くが、作中のなんでもなさそうな台詞のセンスが良く、心に残る。
台詞のないコマを使った間の取り方が素敵で、登場人物たちの微妙な表情の違いを読み取らせることで、彼らの生活がリアルに感じられる。
また、登場人物のキャラが良い。
夫が蒸発した銭湯を経営する気が強くて明るい女性、それをひっそりと支える訳あり?の男、胡散臭い探偵、元テキ屋でトラブルメーカーの近所のじいさん、銭湯に来る常連や子供たち…みんな表では明るく振舞っているが、実は重いものを背負っている描写も良い。
物語は映画のワンシーンみたいな場面の連続で、言いようのない臨場感があり、まるで1本の映画を見ているようである。
豊田先生の作品数は極めて少ない(単行本に至っては、3冊!!)が、その作品の完成度は極めて高く、1つ1つの物語が1本の映画のようであり、私のような熱狂的なファンも多い。

 

豊田徹也作品集