俺たちは広島県庄原市の冬山・立烏帽子山を前にしていた。
厄介なことに、まだ人が登っておらず、トレース(踏み跡)が無い状況だ。
こんな場合は、正直なところ危険なので、迂回した方が良い。
俺「えっ!?ここホントに登るの?流石に危険じゃあないか?」
金井「トレース無くて終わったわ…(カップヌードルCM風)」
おまけに金井のスノーシューはぶっ壊れていた。
どーしてこんな状況に追い込まれたのか…
時間は、2日前の土曜日に遡る…
2/10(土)、俺は大山でのデイキャンプから帰宅し、コタツでぬくぬくしながら、『ヤニねこ』(ヤングマガジン)の最新刊を読んでいた。
ダラダラ漫画を読んでいると、電話が鳴る。金井(あだ名)からである。
金井「パイセン、お疲れっす!突然ですが、月曜に冬山行きません?晴れそうなんで、良い冬山日和になりそうですよ」
俺「いいねぇ~行きますか~」
ということで、山行が決まった。
今回の行先は、広島県庄原市の立烏帽子山である。
立烏帽子山は広島県の北東部にある山で、島根県との県境近くにあるピークだ。
広島県北部と島根県境に位置する比婆山連峰(烏帽子山、池ノ段、竜王山、吾妻山などを含む1200m級の9連座)の1つであり、立烏帽子山は連峰中の最高峰(標高1,299m)である。
ちなみに去年、俺はこの比婆山連峰の一角・吾妻山に登っており、最高の冬山登山だったことを思い出した。
また、比婆山連峰は古事記の舞台となる峰々として伝承されており、立烏帽子山の北北西方向に存在する巨石は、イザナミノミコトの御陵と伝えられている。
さらに、比婆山麓では50年ほど前に、ゴリラに似た体つきをした謎の類人猿「ヒバゴン」の目撃例が相次いで話題を集めており、付近の稜線上には国指定天然記念物のブナの原生林が広がり、豊かな自然も残っている。
今回のルートは、広島県民の森から立烏帽子山に登るルートだ。
そこまで難易度は高くなく、勾配も緩やかであり、天気が良ければ快適な冬山登山となるだろう。
2/12(月)、予報どおり快晴である。
奥出雲町に集合し、そこから約40分かけて広島県民の森まで行く。
AM9:15、冬山登山のスタートだ。
立烏帽子山前までは、勾配も緩く、とても登りやすかった。
しかし、大変なのはここからであった。
後編に続く!!