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【書籍紹介】外道クライマー(作:宮城公博)

集英社より

今日は個人的偉人の名著を紹介をしたい。
偉人の名は、宮城公博(みやぎきみひろ)という。
彼は沢登り冒険家であり、スーパーアルパインクライマーだ。
今回は彼の名著「外道クライマー」を紹介する。

スーパーアルパインクライマー 宮城公博

宮城公博氏は沢登り冒険家だ。
沢登りについては、本ブログの下記リンクで紹介しているので説明は省略する。

ksnsenpai.hatenablog.com

1983年、愛知県生まれであり、クライマー兼沢ヤ(注1)、ライター、登山ガイド、NPO富士山測候所職員と様々な顔を持つ。
2012年、那智の滝登攀での逮捕(注2)により、7年間勤務した福祉施設を辞職するが、2013年、立山称名滝冬期初登攀、2014年、立山ハンノキ滝冬期初登攀をはじめ、未踏の地、初登攀にこだわって山行を続ける。
文章力には定評があり、宮城氏のブログ「セクシー登山部」では「舐め太郎」として知る人ぞ知る存在である。
作家・探検家の角幡唯介氏から、「日本を代表するアルパインクライマー(注3)」と評されるが、そもそもアルパインクライマーは絶滅危惧種であり人口が少ないとのこと。

■宮城氏のブログ「セクシー登山部」

sexy-tozan-bu.blogspot.com

注1:沢登りに偏屈なこだわりを持つ、社会不適合者
注2:宮城公博氏、佐藤祐介氏、大西良治氏3人のアルパインクライマーが世界遺産那智の滝を登攀しようとして逮捕された事件。何やってんだよ(笑)
注3:登山とクライミング両方の要素を合わせ持つ登山スタイルの一つ「アルパインライミング」を行う命知らずのこと。

宮城氏の著書「外道クライマー」

本当に個人的にだが、今まで読んだ書籍の中で一番面白かった本かもしれない。
この書籍では、宮城氏が冒険への道を突き進む契機となった事件や、その後の冒険にまつわる数々のエピソードが描かれている。

逮捕!日本一の直瀑・那智の滝

信じられないかもしれないが、物語は宮城氏が逮捕されるところから始まる。
上述のとおり、宮城公博氏、佐藤祐介氏、大西良治氏3人のアルパインクライマーが世界遺産那智の滝を登攀しようとして逮捕されるのだ。意味が分からない。
このため、宮城氏は7年間勤務した福祉施設を辞職することになるが、開き直って、今までなかなか行けなかった国内外の大きな沢や山に行こうと決心するのだった。
そして彼は「誰もやったことのない登山」を目指し、決死の46日間タイのジャングル沢登りを行うのだった…
このような行動から、宮城氏が沢登りに偏屈なこだわりを持つ、社会不適合者「沢ヤ」であり、最も野蛮で原始的な登山といわれる沢登りにこだわり続ける"外道"クライマーであることがよくわかる。

タイのジャングル46日間の沢登

2014年10月、宮城氏は日本を飛び立ち、タイを目指す。
宮城氏より5つ年下の高柳氏もパートナーとして今回の冒険に同行する。
この高柳氏と宮城氏の掛け合いが実に面白い。
まるでサークルの先輩と後輩といった関係だ。
宮城氏を「外道クライマー」と名付けたのも、この高柳氏とのことだ。
そして46日間のタイのジャングル行では、道に迷い、激流に溺れかけ、飢えに耐えることになる。
生死の境目ギリギリの状況を描きながらも、高柳氏と宮城氏の漫才コンビのような掛け合いがちょくちょく出てきて、つい笑ってしまう。
冒険の終盤には、大蛇と闘うハメになり…かなりハラハラする場面なのだが、ここでも高柳氏と宮城氏の掛け合いにはついつい笑みがこぼれてしまう。

感想

高柳氏「パイセン、ほんと勘弁してくださいよぉ。僕のアイフォン、もう10パーセントしかないんですよ。そんなんだから日本一の外道クライマーとか言われるんですよ」
宮城氏「そのひどいあだ名つけたのはお前だろう。SNSで流すもんだから広まっちゃったじゃないか。俺は女子にモテるちょい悪くらいのクライマー目指してんだよ」

未知のジャングルを川に沿って進み、時には死にかけて約50日歩く冒険的行為もすごいが、上記のサークルの先輩・後輩のような掛け合いが非常にツボにハマり、最初から最後までハラハラしつつもずっと爆笑していた。
それが「外道クライマー」である。
何度も言うが、今まで読んだ書籍の中で一番面白かった。
「この文章をもっと読みたい」そう思わせる本だった。

だけど自分も後輩と登山している最中はこんな感じなのかな、とも思った。

試し読み

www.shueisha.co.jp

外道クライマー